まずは、その遺言書が有効か、確認する必要があります。
公正証書であれば、その日付以降に作られた遺言書がないかを公証役場に確認しましょう。遺言書が何通もある場合、矛盾する内容が書かれている部分については、新しい遺言書の内容が有効となります。
自筆証書遺言(お父様が手書きで書いて封筒に入れた遺言書)が出て来た場合には、直ちに開封してはいけません。家庭裁判所で「検認」という手続をとる必要があります。
有効な遺言書で、これ以上新しい遺言書も出てこないとなった場合、相続人である自分には遺産を相続させない旨の遺言書が出てきても、あなたには「遺留分」という権利があります。
例えば、お父様が亡くなって、相続人が、お母様とあなた、お兄様の3人の場合、あなたの法定相続分は、4分の1です。そのさらに半分、8分の1が遺留分となります。すべての財産を兄に渡すという遺言書が出て来た場合でも、あなたは、遺産の8分の1をもらう権利があります。
ただ、そのためには、お父様が亡くなって、遺言書の内容(=自分の遺留分が侵害されていること)を知ってから1年以内に、お兄様に対して遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)をしなければいけません。
また、8分の1の権利があるといっても、お兄様が簡単に応じてくれるとは限らず、また、それをどのように分けるのか、特に、不動産がある場合、その評価をどうするか、交渉は単純ではありません。
さらには、遺留分の対象となる財産は、必ずしも、お父様の死亡時の財産に限られません。お父様が、生前、お兄様に多額の贈与をしていたというような事情がある場合、それも遺留分の対象となる財産に含めることが可能です。
遺留分を請求した際、お兄様から「相続時の預金が300万円あった。8分の1より多い100万円を渡すから、これで終わりにしないか。」、などと言われた場合、生前に多額の贈与を受けており、実際の遺留分はもっと多いことなども考えられます。
このように、もしも、相続人である自分の取り分がない、もしくは少ない、という内容の遺言書が出て来た場合には、早急に当事務所にご相談ください。
当事務所では、確実に遺留分を取得するためのアドバイスを始め、必要に応じて、財産の調査、相手方との交渉、調停、裁判などを行っております。